要点
- Zoho One は 45 以上のアプリを月額約 1,080 円/ユーザー〜で利用でき、HubSpot 無料版と組み合わせるよりもトータルコストを抑えやすいです。
- HubSpot は CRM・MA(マーケティングオートメーション)領域の操作性と日本語コミュニティが充実しており、マーケティング主導の企業に向いています。
- どちらもデータ保管場所・退職者アカウント管理などセキュリティ面の事前確認が必須であり、稟議書には ROI とコンプライアンス根拠を明記すると承認率が上がります。
この記事でわかること
- Zoho One と HubSpot の料金プラン・機能差分を一覧表で比較できます
- 実際のユーザー評判から見えるメリット・デメリットを把握できます
- 中小企業(従業員 10〜500 名)が導入判断する際のセキュリティチェックポイントがわかります
- 稟議書に記載すべき ROI・コンプライアンス根拠を具体的に確認できます
- 自社に合うのはどちらかを「企業タイプ別」に判断できます
Zoho One・HubSpot とは?中小企業に選ばれる理由
Zoho One は、インド発の Zoho Corporation が提供する統合ビジネスプラットフォームです。CRM・メール・会計・プロジェクト管理・HR など 45 以上のアプリケーションを単一ライセンスで利用できる点が最大の特徴です。「オールインワンで安い」という評判が日本の中小企業を中心に広がっています。
一方、HubSpot はアメリカ発の CRM プラットフォームで、マーケティング・セールス・カスタマーサービスの各「Hub」を組み合わせて使います。無料 CRM の提供で知名度を獲得し、日本語 UI・日本語サポート・豊富な学習コンテンツ(HubSpot Academy)が評価されています。
どちらも中小企業で導入実績が豊富ですが、カバー範囲・課金体系・セキュリティポリシーが大きく異なります。以下で詳しく比較していきます。
Zoho One と HubSpot の主要機能・特徴
Zoho One:45 以上のアプリをワンライセンスで統合
Zoho One は CRM(Zoho CRM)、メール(Zoho Mail)、会計(Zoho Books)、人事(Zoho People)、プロジェクト管理(Zoho Projects)などを 1 つの契約で利用できます。アプリ間のデータ連携がネイティブで、追加の API 連携コストが発生しにくい構造です。管理者は「Zoho One 管理パネル」から全アプリのユーザー・権限を一元管理できます。
HubSpot:CRM を中心としたマーケティング特化型プラットフォーム
HubSpot の強みは Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub・CMS Hub・Operations Hub の 5 つの Hub を柔軟に組み合わせられる点です。特に Marketing Hub のランディングページ作成・メールマーケティング・リードスコアリング機能は、BtoB マーケティングを強化したい企業に高く評価されています。無料 CRM だけでも基本的な顧客管理・商談管理が可能です。
セキュリティ・データ管理の比較ポイント
Zoho One は EU・米国・インド・オーストラリアなど複数リージョンにデータセンターを持ち、日本リージョン(JP DC)も利用可能です。一方、HubSpot のデータは主に米国・EU のデータセンターに保管されます。個人情報保護法や ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の観点では、データ保管場所の確認が稟議書の重要項目となります。
日本語サポートと導入支援
Zoho は日本法人(ゾーホージャパン株式会社)が東京・横浜にオフィスを構え、日本語でのメール・電話サポートを提供しています。HubSpot も日本法人(HubSpot Japan 株式会社)が日本語サポートを提供し、パートナーエコシステムが充実しています。どちらも日本語対応は十分ですが、導入パートナーの選択肢は HubSpot のほうが多い傾向です。
Zoho One と HubSpot の料金プラン比較
以下は 2026 年時点の公開情報に基づく料金目安です。最新の正確な価格は各公式サイトで必ずご確認ください。
| 項目 | Zoho One(全従業員プラン) | Zoho One(柔軟プラン) | HubSpot 無料ツール | HubSpot Starter | HubSpot Professional |
|---|---|---|---|---|---|
| 月額料金(税抜) | 約 1,080 円/ユーザー | 約 2,160 円/ユーザー | 0 円 | 約 1,800 円〜/ユーザー | 約 96,000 円〜/月(5 ユーザー含む) |
| 契約形態 | 年間契約 | 年間契約 | 無料 | 月次 or 年間 | 年間契約推奨 |
| 含まれるアプリ数 | 45 以上 | 45 以上(必要分のみ課金) | CRM + 基本機能 | 各 Hub の基本機能 | 各 Hub の上位機能 |
| ストレージ | 各アプリごとに設定 | 同左 | 制限あり | 制限緩和 | 大容量 |
| サポート | メール・電話(日本語) | 同左 | コミュニティ中心 | メール・チャット | 電話サポートあり |
| 無料トライアル | 30 日間 | 30 日間 | 無期限(無料枠内) | なし(無料版から移行) | なし |
料金に関する注意点: Zoho One の「全従業員プラン」は社内の全従業員にライセンスを付与する必要があります。一部の社員だけに導入したい場合は「柔軟プラン」を選ぶことになりますが、ユーザー単価が上がります。HubSpot は Hub ごとの積み上げ課金のため、Marketing Hub Professional + Sales Hub Starter のように組み合わせると月額 10 万円を超えるケースも珍しくありません。
Zoho One と HubSpot の競合製品比較表
中小企業が検討しやすい主要 SaaS プラットフォームを含め、8 項目以上で比較します。
| 比較項目 | Zoho One | HubSpot(Starter 以上) | Salesforce Essentials | Microsoft 365 + Dynamics 365 | kintone(サイボウズ) |
|---|---|---|---|---|---|
| 月額目安/ユーザー | 約 1,080 円〜 | 約 1,800 円〜 | 約 3,000 円〜 | 約 2,500 円〜(合算) | 約 1,500 円〜 |
| CRM 機能 | ◎(Zoho CRM) | ◎(HubSpot CRM) | ◎ | ◎ | △(カスタム構築) |
| MA(マーケティング自動化) | ○(Zoho Marketing Automation) | ◎(Marketing Hub) | △(別途 Pardot) | ○ | × |
| 会計・請求管理 | ○(Zoho Books) | ×(外部連携) | ×(外部連携) | ○(Dynamics) | ×(外部連携) |
| HR・勤怠管理 | ○(Zoho People) | ×(外部連携) | × | ○ | △(カスタム) |
| 日本語サポート | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| データ保管リージョン | JP 含む複数選択可 | 米国・EU 中心 | 日本リージョンあり | 日本リージョンあり | 日本国内 |
| API 連携の豊富さ | ○(Zoho Flow 含む) | ◎(1,500 以上の連携) | ◎ | ◎ | ○ |
| 導入パートナー数(日本) | 中程度 | 多い | 多い | 非常に多い | 多い |
| 無料トライアル | 30 日間 | 無料版あり | 14 日間 | 30 日間 | 30 日間 |
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Zoho One と HubSpot のメリット・デメリット
Zoho One のメリット
- 圧倒的なコストパフォーマンス: 45 以上のアプリを月額約 1,080 円/ユーザー〜で利用でき、複数 SaaS を個別契約するよりトータルコストを大幅に抑えられます
- ネイティブ連携でデータが分散しない: アプリ間のデータ連携が標準装備のため、CSV エクスポート・インポートの手間やデータ不整合リスクを軽減できます
- 日本リージョンのデータ保管が可能: 個人情報保護法への対応や社内コンプライアンス基準を満たしやすくなります
- 管理者パネルで全アプリを一元管理: 退職者のアカウント無効化や権限変更を一箇所から実行でき、セキュリティリスクを抑えられます
Zoho One のデメリット
- 個々のアプリの深さでは専業製品に劣る場合がある: 例えば MA 機能は HubSpot Marketing Hub ほど高度ではありません
- 全従業員プランは全員分のライセンスが必要: 一部署のみ導入したい場合、コスト効率が下がる可能性があります
- 日本国内のユーザーコミュニティは HubSpot より小規模: 日本語の活用事例やナレッジが比較的少ない傾向です
HubSpot のメリット
- 無料 CRM で導入ハードルが極めて低い: まず無料で始めて、必要に応じて有料 Hub を追加する段階的導入が可能です
- Marketing Hub の機能が業界トップクラス: ランディングページ・メール自動化・リードスコアリングなど、マーケティング主導の企業に最適です
- 日本語コミュニティ・教育コンテンツが充実: HubSpot Academy の無料認定資格や、国内パートナーによる導入支援が豊富です
- 1,500 以上のサードパーティ連携: Slack・Zoom・Google Workspace など既存ツールとの連携がスムーズです
HubSpot のデメリット
- Hub の積み上げでコストが急増する: Marketing Hub Professional 以上を契約すると、月額 10 万円超になるケースが多いです
- 会計・HR 機能は外部ツールに依存: CRM 以外の業務を統合するには、別途 SaaS を契約・連携する必要があります
- データ保管は主に米国・EU: 日本リージョンでの保管を求められる場合、要件を満たせない可能性があります
こんな企業・ユーザーにおすすめ
パターン 1: コストを抑えて業務を一元化したい中小企業 → Zoho One
従業員 30〜100 名程度で、CRM・メール・会計・HR を 1 つのプラットフォームに集約してコスト削減と管理工数の低減を同時に実現したい企業に向いています。複数の SaaS を個別契約している場合、Zoho One に移行するだけで月額コストを 30〜50% 削減できるケースがあります。
パターン 2: マーケティング強化を最優先したい企業 → HubSpot
BtoB マーケティングを本格的に立ち上げたい、あるいはリードジェネレーション(見込み顧客獲得)を強化したい企業には HubSpot が向いています。無料 CRM からスタートし、成果が出た段階で Marketing Hub を追加する段階的投資が可能です。
パターン 3: まず無料で CRM を試したいスタートアップ → HubSpot 無料版 → 成長後に Zoho One も検討
創業期でまだ予算が限られている場合は、HubSpot の無料 CRM で顧客管理を始めるのが合理的です。事業が拡大し、会計・HR・プロジェクト管理まで統合したくなった段階で Zoho One への移行を検討する方法もあります。
稟議書に使えるポイント
コスト削減効果(ROI): Zoho One を全従業員 50 名で導入した場合、月額約 54,000 円(1,080 円 × 50 名)で 45 以上のアプリを利用可能です。CRM・メール・会計を個別契約した場合の月額合計(推定 15〜20 万円)と比較して、年間で約 120〜180 万円のコスト削減が見込めます。HubSpot を選ぶ場合でも、無料 CRM + Starter プランであれば月額約 9 万円(50 名想定)からスタートできます。
コンプライアンス対応: Zoho One は日本リージョン(JP データセンター)でのデータ保管に対応しており、改正個人情報保護法の安全管理措置への適合が示しやすくなります。HubSpot は SOC 2 Type II・GDPR 準拠を公表しており、海外データ保管に関する社内規程との整合性を確認した上で導入可能です。
導入実績・信頼性: Zoho は全世界で 1 億ユーザー以上、日本でも中小企業を中心に導入が拡大しています。HubSpot はグローバルで 228,000 社以上(公式発表値)が利用し、日本法人による直接サポート体制が整備されています。いずれも国際的な第三者認証を取得済みのプラットフォームであり、導入リスクは低いと評価できます。
よくある質問
Zoho One の評判は?実際のユーザーの声はどうですか?
Zoho One の評判は「圧倒的にコスパが良い」「アプリ間連携が便利」という肯定的な声が多い一方、「個々のアプリの UI がやや古い」「日本語マニュアルが不十分な機能がある」といった指摘も見られます。ITreview や G2 などのレビューサイトでは、総合評価で 4.0/5.0 前後のスコアを獲得する傾向にあり、特にコストパフォーマンスの項目で高評価を得ています。
HubSpot の無料 CRM だけで中小企業の業務は回りますか?
HubSpot の無料 CRM は、顧客管理・商談パイプライン管理・基本的なメール追跡など、営業活動の基本機能を十分にカバーできます。ただし、メールマーケティングの送信数制限や、レポートのカスタマイズ制限があるため、マーケティング施策を本格化する段階では Starter 以上の有料プランへの移行が必要になります。従業員 10〜30 名で営業管理を始めたい企業であれば、無料版でも数ヶ月〜1 年程度は十分に運用可能です。
Zoho One と HubSpot はどちらがセキュリティに強いですか?
両製品ともエンタープライズグレードのセキュリティ機能を提供しています。Zoho One は二要素認証(2FA)・IP アドレス制限・監査ログ・日本リージョンでのデータ保管に対応しています。HubSpot も 2FA・SSO(シングルサインオン)・SOC 2 Type II 認証を取得しています。セキュリティの「強さ」は一概に比較できませんが、日本国内でのデータ保管を重視する場合は Zoho One が優位であり、SSO 連携の充実度では HubSpot が優位です。自社のセキュリティポリシーに照らして判断することをおすすめします。
Zoho One から HubSpot(またはその逆)への移行は難しいですか?
どちらのプラットフォームも CSV インポート/エクスポート機能を備えており、CRM データ(顧客情報・商談情報)の移行は比較的容易です。ただし、メールマーケティングのワークフロー設定・カスタムフィールドのマッピング・過去のアクティビティ履歴の完全移行には手動作業が発生します。50 名以上の組織で移行する場合は、Zoho・HubSpot いずれも公式パートナーによる移行支援サービスの利用を検討すると安全です。
中小企業が Zoho One を導入する際の最低限のセキュリティ設定は?
最低限実施すべき設定は、①全ユーザーへの二要素認証(2FA)の強制適用、②管理者権限の最小権限原則(必要な権限のみ付与)に基づく設定、③退職者アカウントの即時無効化ルールの策定の 3 点です。Zoho One の管理パネルから一括で設定・監視できるため、IT 専任担当者がいない企業でも 1〜2 時間で初期セキュリティ設定を完了できます。
まとめ:Zoho One と HubSpot、自社に合うのはどちらか
Zoho One は「コストを抑えながら業務を一元化したい企業」に、HubSpot は「マーケティング主導で成長したい企業」に、それぞれ最適なプラットフォームです。料金面では Zoho One のオールインワン型が圧倒的に有利ですが、マーケティング機能の深さや導入パートナーの豊富さでは HubSpot に軍配が上がります。
どちらを選ぶ場合でも、データ保管場所の確認・退職者アカウント管理ルールの策定・二要素認証の強制適用といったセキュリティ対策は導入前に必ず実施してください。まずは両製品の無料トライアル・無料版を実際に触り、自社の業務フローとの相性を確かめることが最善の判断方法です。
Zoho One の 30 日間無料トライアルを始める | HubSpot の無料 CRM を試してみる
※本記事に掲載の料金・機能情報は 2026 年 7 月時点の公開情報に基づきます。最新の正確な情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
この記事の根拠
- Zoho One 公式サイト(https://www.zoho.com/one/)— 料金プラン・機能一覧・データセンター情報(参照: 2026年7月)
- HubSpot 公式サイト(https://www.hubspot.jp/)— 料金・製品情報・SOC 2 認証情報(参照: 2026年7月)
- ITreview「Zoho One のレビュー・評判」(https://www.itreview.jp/)— ユーザー評価・口コミ傾向(参照: 2026年7月)