要点

  • Make(旧Integromat)は月額 9 ドル〜で利用でき、Zapier と比べて同等機能で約 40〜60% のコスト削減が見込めるノーコード自動化ツールです。
  • SOC 2 Type II・GDPR 対応済みで、法人利用に必要なセキュリティ要件を満たしています。
  • ビジュアルシナリオエディタにより、非エンジニアでも複雑な条件分岐ワークフローを構築できます。

Make 公式サイトで無料プランを確認する


この記事でわかること

  1. Make(旧 Integromat)の基本機能と法人利用における強み
  2. Zapier・Power Automate など競合ツールとの料金・機能・セキュリティ比較
  3. 情報システム部門が知っておくべき管理者機能とセキュリティ認証の詳細
  4. 稟議書に記載できる ROI 試算と導入メリットの整理方法
  5. 日本企業での具体的な活用パターンと導入時の注意点

Make(旧 Integromat)とは?法人に選ばれるノーコード自動化ツール

Make は、2020 年に Integromat からリブランドされたノーコード業務自動化プラットフォーム(iPaaS: Integration Platform as a Service)です。チェコの Celonis 傘下で開発されており、世界で 50 万社以上が利用しています。

最大の特徴は「ビジュアルシナリオエディタ」と呼ばれるフローチャート形式の画面で、条件分岐・ループ・エラーハンドリングを含む複雑なワークフローをドラッグ&ドロップで構築できる点です。Slack・Google Workspace・Salesforce・kintone など 1,800 以上のアプリと連携でき、手作業で行っていたデータ転記・通知・承認フローを自動化できます。

法人利用で注目すべきは、チーム管理機能・監査ログ・シングルサインオン(SSO: Single Sign-On)への対応です。個人ブロガー向けの情報が多い中、本記事では情報システム部門・経営層が意思決定に使える法人視点の情報を中心にまとめています。


Make の主要機能・特徴

ビジュアルシナリオエディタで複雑な分岐も直感的に構築できる

Make のシナリオエディタは、ワークフローをフローチャートとして視覚化する設計です。Zapier の「トリガー → アクション」一直線の構成とは異なり、1 つのトリガーから複数の分岐パスを並列に実行できます。たとえば「問い合わせフォーム受信 → CRM 登録・Slack 通知・メール返信」を 1 シナリオ内で同時処理できるため、シナリオ数(=課金対象)を抑えられます。

1,800 以上のアプリ連携とカスタム HTTP モジュール

標準コネクタだけでなく、HTTP/Webhook モジュールを使えば API を公開している任意のサービスと接続できます。kintone・freee・マネーフォワードなど国内 SaaS との連携も HTTP モジュール経由で実現可能です。JSON パーサー・CSV 変換などデータ加工モジュールも充実しており、外部ツールなしで ETL(Extract/Transform/Load)的な処理を完結できます。

チーム管理・監査ログ・SSO で法人ガバナンスに対応

Teams プラン以上では、チームメンバーのロール管理(管理者・編集者・閲覧者)、シナリオの実行ログ閲覧、SSO(SAML 2.0)によるアクセス制御が利用できます。「誰がいつどのシナリオを変更したか」を追跡できるため、内部統制や ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の運用要件にも対応しやすい設計です。

SOC 2 Type II・GDPR 対応のセキュリティ基盤

Make は SOC 2 Type II 認証を取得しており、データの暗号化(転送時 TLS 1.2 以上、保存時 AES-256)が標準適用されます。EU の GDPR(一般データ保護規則)にも準拠しており、データ処理契約(DPA: Data Processing Agreement)を公式サイトから取得できます。サーバーは EU リージョン(AWS)がデフォルトですが、Enterprise プランではリージョン指定も相談可能です。


Make の料金プラン

プラン 月額料金(税抜) オペレーション数/月 シナリオ数 チーム管理 SSO
Free 0 ドル 1,000 2 × ×
Core 9 ドル〜 10,000 無制限 × ×
Pro 16 ドル〜 10,000 無制限 ×
Teams 29 ドル〜 10,000 無制限
Enterprise 要問合せ カスタム 無制限

※ 上記は年払い時の月額換算です。オペレーション数は追加購入が可能です。価格は 2026 年時点の公式サイト掲載情報に基づいており、変更される場合があります。


Make と競合ツールの比較

比較項目 Make Zapier Power Automate n8n Workato
月額最安(有料) 9 ドル 19.99 ドル 15 ドル/ユーザー 無料(セルフホスト) 要問合せ
無料プラン ○(1,000 ops) ○(100 タスク) △(限定的) ○(セルフホスト) ×
連携アプリ数 1,800 以上 7,000 以上 1,000 以上 400 以上 1,200 以上
ビジュアルエディタ ◎(分岐・並列対応) △(直線型)
条件分岐・ループ ◎(標準搭載) △(有料プランのみ)
SOC 2 Type II ×(セルフホスト次第)
SSO(SAML) ○(Teams 以上) ○(Enterprise) ○(Microsoft Entra ID)
日本語 UI △(一部対応) △(一部対応) × ×
日本語サポート × × ○(Microsoft 経由) ×

Make の機能・料金を公式サイトで詳しく確認する


Make のメリット・デメリット

メリット

  • コストパフォーマンスが高い: Zapier と同等の自動化を実現しつつ、月額コストを 40〜60% 抑えられるケースが多いです。特にオペレーション数が多い法人利用でコスト差が顕著になります。
  • 複雑なワークフローに強い: 分岐・ループ・エラーハンドリングを 1 シナリオ内で構築できるため、Zapier では複数 Zap に分割する処理を 1 本で完結できます。
  • セキュリティ認証が充実: SOC 2 Type II・GDPR 対応済みで、情報セキュリティポリシーが厳格な企業でも導入しやすい基盤が整っています。
  • HTTP モジュールの柔軟性: 標準コネクタがないサービスでも API 連携できるため、国内 SaaS との統合に対応しやすいです。
  • データ加工が得意: JSON・CSV・XML の変換モジュールが豊富で、外部 ETL ツールなしにデータ整形が可能です。

デメリット

  • 日本語サポートが限定的: UI は一部日本語化されていますが、公式ドキュメント・サポート窓口は英語中心です。社内に英語対応できる担当者がいない場合、問い合わせのハードルが上がります。
  • 学習コストがやや高い: ビジュアルエディタの自由度が高い反面、Zapier のように「テンプレートを選ぶだけ」で完了する手軽さはやや劣ります。
  • 国内事例が少ない: 海外では多数の導入事例がありますが、日本企業での公開事例はまだ限定的です。

こんな企業・ユーザーにおすすめ

1. 月間オペレーション数が多い中小企業

受注処理・経費精算・顧客通知など、毎月数万件のデータ処理を自動化したい企業には、オペレーション単価が安い Make がコスト面で有利です。Zapier で月額 100 ドル以上支払っている場合、Make への移行で年間 500〜1,000 ドルの削減が見込めます。

2. 複数部署のワークフローを一元管理したい情報システム部門

Teams プランの権限管理・監査ログ機能を活用すれば、各部署が作成したシナリオを情報システム部門が横断的に管理できます。「野良ツールの乱立を防ぎたい」という課題を持つ企業に適しています。

3. API 連携で国内 SaaS を含む独自フローを構築したい企業

kintone・freee・Chatwork など、日本固有の SaaS と連携したい場合、HTTP モジュールで柔軟に対応できる Make は有力な選択肢です。Zapier にコネクタがないサービスでも、API ドキュメントがあれば接続可能です。


稟議書に使えるポイント

  1. コスト削減効果: Make の Core プラン(月額 9 ドル・約 1,350 円)は Zapier の Starter プラン(月額 19.99 ドル・約 3,000 円)と比較して月額約 1,650 円/人の削減となり、10 名利用時で年間約 198,000 円のコスト圧縮が見込めます。
  2. セキュリティ基準への適合: SOC 2 Type II 認証取得済み・GDPR 準拠・TLS 1.2 以上の通信暗号化により、ISMS 認証取得企業やプライバシーマーク取得企業のセキュリティポリシーに適合しやすい仕様です。
  3. 業務効率化の定量効果: 手作業のデータ転記を自動化することで、1 件あたり平均 5 分の作業を削減できた場合、月間 500 件の処理で約 41.7 時間/月(人件費換算で約 125,000 円/月)の工数削減が期待できます(時給 3,000 円想定)。

よくある質問

Make(旧 Integromat)と Zapier のどちらが法人利用に向いていますか?

複雑な条件分岐やデータ加工が必要な場合、Make のビジュアルシナリオエディタが優れています。一方、連携アプリ数の多さやテンプレートの豊富さでは Zapier が有利です。月間オペレーション数が 10,000 件を超える場合は Make のコストメリットが大きく、シンプルな連携を多数作る場合は Zapier の手軽さが活きます。自社の自動化パターンに合わせて無料プランで検証するのが最も確実です。

Make の日本語対応状況はどの程度ですか?

2026 年時点で、Make の操作画面(UI)は一部日本語に対応していますが、公式ヘルプドキュメント・サポート窓口は英語が中心です。コミュニティフォーラムにも日本語の投稿は限定的です。社内で英語ドキュメントを読める担当者がいない場合は、日本語の解説ブログや YouTube チュートリアルを補助的に活用することを推奨します。

Make の無料プランはどこまで使えますか?

Make の無料プランでは、月間 1,000 オペレーション・2 シナリオまで作成可能です。小規模な自動化の検証(PoC: Proof of Concept)には十分ですが、本番運用には Core プラン以上へのアップグレードが必要です。なお、1 オペレーションは「シナリオ内の 1 モジュールの実行」に相当するため、1 回のシナリオ実行で複数オペレーションが消費される点に注意が必要です。

Make のデータはどこに保存されますか?セキュリティは安全ですか?

Make のインフラは AWS 上で運用されており、デフォルトのデータリージョンは EU(フランクフルト)です。SOC 2 Type II 認証を取得しており、保存データは AES-256 で暗号化、転送時は TLS 1.2 以上で保護されます。Enterprise プランではリージョン指定や専用インスタンスの相談が可能なため、データ所在地に関する社内規定がある場合は営業担当に確認することを推奨します。

Make への移行は難しいですか?Zapier からの乗り換え方法は?

Make には Zapier の Zap を直接インポートする機能はありませんが、同等のワークフローを Make のシナリオエディタで再構築する形になります。Make のビジュアルエディタでは、Zapier で複数 Zap に分割していた処理を 1 シナリオに集約できるケースが多いため、移行を機にワークフロー全体を見直すとよいです。無料プランで主要シナリオを再構築し、動作検証してから有料プランへ移行するステップがリスクを抑えられます。


まとめ

Make(旧 Integromat)は、コストパフォーマンス・ワークフローの柔軟性・セキュリティ認証の 3 点で法人利用に適したノーコード自動化ツールです。Zapier と比較して月額コストを 40〜60% 削減できるケースが多く、特に複雑な条件分岐や大量のオペレーション処理を必要とする企業で真価を発揮します。

一方で、日本語サポートの限定性や国内事例の少なさは導入時のハードルとなり得ます。まずは無料プランで自社の主要業務フローを再現し、運用負荷とコスト削減効果を実測してから有料プランへ移行する段階的なアプローチが最もリスクの低い導入方法です。

Make の無料プランで業務自動化を試してみる


この記事の根拠

※ 本記事に記載の料金・機能・仕様は 2026 年時点の情報です。最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。本記事にはアフィリエイトリンクが含まれており、リンク経由でのご契約が発生した場合、当サイトが報酬を受け取ることがあります。