要点

  • Dashlane Business は 1 ユーザー月額 8 ドル〜で、SSO(Single Sign-On)連携やダークウェブモニタリングを含む法人向けパスワード管理サービスです
  • IT 管理者向けのポリシー設定・グループ管理・監査ログが標準搭載され、ISMS や SOC 2 Type II 対応が求められる企業に適しています
  • 日本語 UI は対応済みですが、日本語サポート窓口がない点は導入前に確認が必要です

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この記事でわかること

  1. Dashlane Business の法人向け機能と他社にない独自の強み
  2. Starter・Business・Business Plus 各プランの料金と機能差分
  3. 1Password Business・NordPass Enterprise との比較表(8 項目)
  4. IT 管理者が稟議書に記載すべき ROI・コンプライアンス情報
  5. 導入前に知っておくべきデメリットと注意点

Dashlane Business とは?法人に選ばれるパスワード管理サービスの概要

Dashlane Business は、米国 Dashlane 社が提供する法人向けパスワード管理(Password Manager)サービスです。2012 年の個人向けサービス開始以降、世界で 1,900 万人以上のユーザー基盤を持ち、企業向けプランは従業員 10 名規模のスタートアップから数百名規模の中堅企業まで幅広く採用されています。

法人プランの最大の特徴は、パスワード管理とダークウェブモニタリング(Dark Web Monitoring)を一体提供する点です。従業員のパスワード強度をリアルタイムで可視化する「パスワードヘルススコア」機能に加え、社内のクレデンシャル(認証情報)がダークウェブに漏洩した場合に管理者へ即座にアラートを送信します。さらに、SCIM(System for Cross-domain Identity Management)によるユーザープロビジョニングや、SAML 2.0 ベースの SSO 連携にも対応しており、Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)や Okta との統合がスムーズに行えます。


Dashlane Business の主要機能・特徴

パスワードヘルススコアで全社のセキュリティ状況を可視化

Dashlane Business 独自の「パスワードヘルススコア」は、全従業員のパスワード強度・再利用率・漏洩状況を 0〜100 のスコアで数値化します。IT 管理者はダッシュボードから部門別・個人別の脆弱パスワード保有率をリアルタイムで把握でき、改善指示を出す根拠データとして活用できます。これにより、「パスワードが弱い社員がどれだけいるか分からない」という情シス部門の課題を定量的に解決します。

ダークウェブモニタリングで漏洩リスクを早期検知

Dashlane は、業務用メールアドレスに紐づくクレデンシャルがダークウェブ上のデータベースに出現した際、管理者と該当ユーザーの双方にリアルタイム通知を送信します。この機能は Business プラン以上に標準搭載されており、追加費用なしで利用できます。他社製品ではオプション扱いや上位プラン限定のケースが多い中、Dashlane は全法人プランで提供している点が差別化ポイントです。

SCIM・SSO 連携で IT 管理の運用負荷を削減

Business プラン以上では、SAML 2.0 による SSO 連携と SCIM による自動プロビジョニングが利用できます。入退社時のアカウント作成・削除を IdP(Identity Provider)と同期することで、「退職者アカウントの消し忘れ」リスクを排除できます。対応 IdP は Microsoft Entra ID、Okta、Google Workspace、JumpCloud などです。

グループポリシーと監査ログで内部統制を強化

管理者は「2FA(二要素認証)の強制」「パスワード最低文字数の設定」「マスターパスワード変更周期の指定」などのセキュリティポリシーをグループ単位で適用できます。監査ログ(Audit Log)は最大 1 年分保存され、ISMS(Information Security Management System)や J-SOX 対応の内部監査にも活用可能です。


Dashlane Business の料金プラン

プラン 月額料金(1 ユーザー) 最低人数 SSO 連携 SCIM ダークウェブモニタリング VPN 機能 電話サポート
Starter 8 ドル(約 1,200 円) 10 名〜
Business 11 ドル(約 1,650 円) 制限なし
Business Plus 要問い合わせ 制限なし

※ 料金は 2026 年 3 月時点の公式サイト記載情報に基づきます。年間契約の場合の 1 ユーザーあたり月額換算です。為替レートにより日本円換算は変動します。

Starter と Business の最大の違いは SSO・SCIM 対応の有無です。IdP を既に導入済みの企業は Business プラン以上を選択することで、アカウント管理の自動化が実現します。10 名以下の少人数チームで SSO が不要な場合は Starter プランでも十分な機能を備えています。


競合パスワードマネージャーとの比較表

比較項目 Dashlane Business 1Password Business NordPass Enterprise Keeper Business Bitwarden Teams
月額料金(1 ユーザー) 11 ドル 7.99 ドル 5.99 ドル 7 ドル 4 ドル
SSO 連携(SAML) ✓(Business 以上) ✓(上位プラン) ✓(Enterprise)
SCIM 自動プロビジョニング ✓(Enterprise)
ダークウェブモニタリング ✓(全プラン) ✓(Watchtower) ✓(Data Breach Scanner) ✓(BreachWatch、有料)
パスワードヘルスダッシュボード ✓(スコア表示) ✓(Watchtower) ✓(パスワード健全性) ✓(セキュリティ監査) △(限定的)
日本語 UI
日本語サポート ✕(英語のみ) △(メール対応あり) ✓(日本語対応) △(限定対応)
SOC 2 Type II 認証

※ 料金・機能は各社公式サイトの 2026 年 3 月時点の情報に基づきます。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

NordPass Enterprise の料金・機能を公式サイトで確認する


Dashlane Business のメリット・デメリット

メリット

  • ダークウェブモニタリングが全法人プランに標準搭載されており、追加費用なしで漏洩リスクを監視できます
  • パスワードヘルススコアにより、全社のセキュリティ状態を定量的に把握し、経営層へのレポーティングが容易です
  • VPN 機能が Business プランに付属しているため、外出先やカフェ Wi-Fi からの接続リスクも低減できます
  • ゼロナレッジアーキテクチャ(Zero-Knowledge Architecture)を採用しており、Dashlane 社のサーバー上でもユーザーの保管データを復号できない設計です
  • SCIM 連携により、入退社時のアカウント棚卸しを自動化できます

デメリット

  • 日本語のカスタマーサポート窓口がなく、問い合わせは英語メール・チャットのみです
  • 月額 11 ドル/ユーザーは、1Password(7.99 ドル)や NordPass(5.99 ドル)と比較してやや割高です
  • オンプレミス(自社サーバー)展開には対応しておらず、クラウド(SaaS)利用のみです
  • Starter プランでは SSO・SCIM が利用できないため、小規模でも IdP 連携が必要な企業は Business プランの契約が必須です

こんな企業・ユーザーにおすすめ

パターン 1: 従業員 50〜200 名でダークウェブ監視を一元化したい中堅企業

情報漏洩対策として「クレデンシャルの漏洩検知」を追加費用なしで導入したい企業に最適です。パスワードヘルススコアと組み合わせることで、ISMS の継続的改善サイクルにも活用できます。

パターン 2: Microsoft Entra ID や Okta を既に導入済みの IT 環境

SSO・SCIM 連携に対応する Business プランを選べば、IdP との統合によりアカウントのライフサイクル管理を自動化できます。入退社対応に毎月数時間を費やしている情シス担当の工数削減に直結します。

パターン 3: リモートワーク中心のスタートアップ・小規模チーム

Business プランに付属する VPN 機能を活用すれば、公衆 Wi-Fi 環境でも安全に業務を行えます。パスワード管理と VPN を別々に契約するよりコストを一本化しやすい点がメリットです。


稟議書に使えるポイント

  1. コスト対効果(ROI): Dashlane Business は月額 11 ドル/ユーザー(年額約 19,800 円/ユーザー)で、ダークウェブモニタリング・VPN・パスワード管理を一括提供します。パスワード関連のヘルプデスク対応コスト(Forrester 調査では 1 件あたり約 70 ドル)の削減効果を考慮すると、50 名規模で年間約 50 万円相当の工数削減が見込めます。
  2. コンプライアンス対応: SOC 2 Type II 認証取得済み、GDPR(一般データ保護規則)準拠、ゼロナレッジアーキテクチャ採用により、ISMS・プライバシーマーク審査での「パスワード管理規程」の技術的統制として記載可能です。
  3. 導入実績: 全世界で 2 万社以上の法人が Dashlane を導入しており、G2 の法人パスワードマネージャーカテゴリで★ 4.5 以上の評価を維持しています(2025 年時点)。14 日間の無料トライアルがあるため、POC(概念実証)を実施してから本契約に進めます。

よくある質問

Dashlane Business は日本語で利用できますか?

はい、Dashlane のデスクトップアプリ・ブラウザ拡張機能・モバイルアプリのいずれも日本語 UI に対応しています。ただし、カスタマーサポートは英語のみの対応となっており、日本語でのメール・チャットサポートは提供されていません。導入前に英語での問い合わせ体制を社内で確認しておくことをおすすめします。

Dashlane Business と 1Password Business はどちらが法人に向いていますか?

両社とも SSO 連携・SCIM・監査ログを備えた本格的な法人向けパスワードマネージャーです。Dashlane の優位点はダークウェブモニタリングと VPN 機能が標準付属する点、1Password の優位点は月額料金が約 3 ドル安く日本語サポートへのアクセスがある点です。ダークウェブ監視を重視するなら Dashlane、コスト優先なら 1Password が選択肢となります。

Dashlane Business に無料トライアルはありますか?

はい、Dashlane Business プランには 14 日間の無料トライアルが用意されています。クレジットカード情報の登録なしで開始でき、トライアル期間中にすべての Business プラン機能(SSO 連携・SCIM・ダークウェブモニタリング)を試用できます。トライアル終了後、有料プランに移行しない場合はデータが 30 日間保持された後に削除されます。

Dashlane から他社パスワードマネージャーへのデータ移行は可能ですか?

はい、Dashlane はパスワードデータを CSV 形式でエクスポートする機能を備えています。1Password・NordPass・Keeper・Bitwarden など主要な競合サービスはいずれも CSV インポートに対応しているため、移行は比較的容易です。ただし、エクスポートした CSV ファイルにはパスワードが平文で記録されるため、移行作業中のファイル管理(暗号化・即時削除)に注意が必要です。

Dashlane Business は SOC 2 や ISMS に対応していますか?

Dashlane は SOC 2 Type II 認証を取得済みです。また、ゼロナレッジアーキテクチャにより、サーバー側でユーザーデータを復号できない設計が保証されています。ISMS(ISO/IEC 27001)の管理策「A.9 アクセス制御」における認証情報管理の技術的統制として、監査対応の根拠資料に活用できます。


まとめ

Dashlane Business は、ダークウェブモニタリング・VPN・パスワードヘルススコアを法人プランに標準搭載した、セキュリティ重視の企業に適したパスワード管理サービスです。特に、全社のパスワード強度を数値で可視化し、情報漏洩リスクを能動的に監視したい IT 管理者にとって、導入メリットの大きいツールといえます。

一方、日本語サポートが提供されていない点や、月額料金が競合よりやや高い点は導入判断時の検討事項です。まずは 14 日間の無料トライアルで自社の運用環境との相性を確認し、1Password や NordPass とも比較した上で最終判断されることをおすすめします。

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本記事で紹介した料金・機能は 2026 年 3 月時点の情報に基づいています。最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。

この記事の根拠
  • Dashlane 公式サイト — Business プラン料金・機能ページ(https://www.dashlane.com/business)参照: 2026 年 3 月
  • G2「Best Password Manager Software」カテゴリ — Dashlane for Business ユーザーレビュー・評価スコア(https://www.g2.com/products/dashlane/reviews)参照: 2026 年 3 月
  • Forrester Research「The Total Economic Impact of Password Management Solutions」— パスワードリセット対応コストの ROI 算出根拠。参照: 2025 年